Hip Joint コラム

股関節に関する有識者の方々が、様々な切り口で股関節をコラム形式で解説します。

  
第15回 Hip Joint コラム 2016.12.01

「骨粗鬆症の激増と過激な減量、ビタミン・ミネラル不足」

香川靖雄先生 写真 画像
香川 靖雄
女子栄養大学
副学長

 私の院生は都内の小さな整形外科病院の管理栄養士で、骨粗鬆症の栄養学で論文を書いていました。驚くべきことに毎日のように股関節の人工骨頭置換術が行われているのです。その理由は言うまでもなく大腿頸部内側骨折で、骨粗鬆症で骨折を起こしやすくなった為です。さらに人工股関節置換術もあります。むろん、介護やリハビリをするのですが、高齢の場合は寝たきりになる方も少なくありません。そこで、骨粗鬆症を防げば良いのですが、そこには二つの大きな原因があるのです。
 今の女性は過激な減量に励む一方(図1)、ビタミン・ミネラルの大変な不足なのです(図2)。テレビの深夜番組では毎日のように、色々なダイエット法で、1月に体重計で何キロ減った、巻尺で腹囲が何センチ減った宣伝するのです。しかし、急激な減量で低血糖になると、脳はブドウ糖しか使えないので、骨と筋肉の蛋白質を分解して糖新生反応でブドウ糖に変えます。そこで折角の減量も脂肪組織よりも骨と筋肉の減少が多いのです(図1)。テレビ番組に減量の広告には必ず体組成計で筋肉と骨が減らないことを示せと忠告するのですが、一回も実行されたことはありません。過激ダイエットが骨粗鬆症の原因と判れば薬や器具が売れなくなるからです。健康番組は「娯楽番組ですから難しい理屈はだめです」というのが口実です。そこで、骨粗鬆症が激増するのです。
 次にビタミン・ミネラルの不足が広まっています(図2)。骨を維持するのには先ずカルシウムとマグネシウムがいるのですが、日本人のカルシウム摂取は600mgの推奨量(米国では1000mg)を満たしたことは昔も今もありません。また、マグネシウムも大幅に不足です。日本のビタミンDの推奨量5.5μgは骨粗鬆学会の20μgや米国高齢者の15μgより遙かに少ないのですが、それすら女性では30歳代で5.2μg、40歳代で5.4μgと下回っているのです。骨粗鬆学会のガイドラインでは葉酸の重要さを認めましたが、それも欧米水準の半分しか摂っていません。骨格、筋肉を育てる健全な活動に必要なビタミンB1も大幅に少ないのです。これは白米、白パン、加工食品など口当たりが良い食品が販売競争を制して、全粒穀類や野菜の摂取が少ないのです。図1と図2を参考に是非、丈夫な骨を作って下さい。

流行の過激なダイエットは方法は全て有害 画像

図1

日本人の栄養摂取量の低下2014 画像

図2


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