Hip Joint コラム

股関節に関する有識者の方々が、様々な切り口で股関節をコラム形式で解説します。

  
第21回 Hip Joint コラム 2017.06.01

「あなたはサルコペニアですか?」

大野誠先生 写真 画像

大野 誠
日本体育大学健康学科教授

1.サルコペニアとは?
 最近、サルコペニアSarcopeniaという言葉を耳にすることが多くなってきました。サルコSarcoとはギリシャ語で「筋肉」、ぺニアPeniaとは「減少」を意味しますが、加齢とともに筋肉量と筋力が徐々に減少して身体活動が低下した状態をサルコペニアといいます。
 ところで、健康寿命という言葉をご存知ですか?健康寿命とは、「日常的に介護を必要とせず、心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」と定義されています。わが国では男女とも平均寿命は世界でもトップレベルですが、平均寿命と健康寿命の差から、男性は平均約9年、女性は約12年ほどもの期間、介護を受けなくなくてはならないことが明らかになっています。
(出典:オリーバ内科クリニック資料:厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概要」) 日本において介護が必要になる3大要因は、脳血管疾患、ロコモティブ・シンドロームそして認知症であることはよく知られていますが、筋肉、骨、関節などの運動器の障害によって引き起こされるロコモティブ・シンドロームの一因として、サルコペニアが最近とくに注目されるようになってきたのです。
 筋肉は運動だけではなく体温を保つためにも重要な役割を果たしています。そこで、サルコペニアになると低体温症になる心配があります。体温が下がると体内での化学反応や物質代謝にかかわる酵素の反応も低下して健康障害を来すことがあります。また、筋肉自体から様々な物質(マイオカイン)が分泌されており、これらが脳、肝臓、膵臓、骨、脂肪細胞などに働きかけて、物質代謝、免疫機能や認知機能などを介して健康増進に関わっていることも明らかにされてきています。ですから、高齢になっても筋肉をしっかりと鍛えておくことが健康維持と深く関わっているという点で、サルコペニアの早期予防が極めて重要な意味を持ってきたわけです。
2、サルコペニアの簡易チェック表
 医療機関など専門の機関では、歩行速度、握力そして筋肉量を測定して、サルコぺニアかどうかを診断しますが、日常生活の中で以下の「簡易チェック表」の4項目のいずれかが気になる場合には、サルコペニアである可能性があるので、専門の医療機関を受診して検査してもらことをお勧めします。
 とくに、指わっかテストは自分で簡単にできるので試してみましょう。ふくらはぎの一番太い部分を、両手の親指と人さし指で囲んでみて、指がくっつくかすき間ができる場合には、サルコペニアの心配があるので専門の医療機関受診をお勧めします。
 サルコペニアは早期に発見して、しっかりトレーニングすれば、高齢者であってもその進行をくい止めて健康体を回復することができます。ただし、自己流のトレーニングではなく、専門家から指導を受けて行うほうが効果的でしかも安全であることは言うまでもありません。
(出典:重本和弘、サルコペニアに要注意、すこぶる第202号/2017号)


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