Hip Joint コラム

股関節に関する有識者の方々が、様々な切り口で股関節をコラム形式で解説します。

第33回 Hip Joint コラム 2018.06.01

「大腿骨近位部骨折(足の付け根の骨折)は早く治療を!」

澤口毅先生 写真
澤口 毅
富山市民病院 副院長
金沢大学整形外科 臨床教授

 世界的に高齢者の増加に伴い、骨粗鬆症による骨折が増加しています。特に大腿骨近位部骨折(足の付け根の骨折)は、日本では年間約20万例発生しており、女性に多く、現在50歳の女性は今後5人に1人がこの骨折を起こすといわれています。この骨折は早期に適切な治療を行わないと、運動機能が低下し寿命も短くなるといわれています。運動機能は多くの場合一段階低下し、歩けた人は杖が必要になり、杖で歩いていた人は車イス、車イスだった人は寝たきりになるといわれています。もちろん予防が第一で、日ごろから食事はカルシュウムやタンパク質の多いものを摂るようにして適度な運動を行うことにより、骨粗鬆症を予防することが大切です。また運動は転倒予防としても重要で、転倒予防運動としては、ロコトレ(https://locomo-joa.jp/check/locotre/)が薦められます。
大腿骨近位部骨折 レントゲン写真 画像 一旦、骨折を起こした場合は、できるだけ早く手術を行い、すぐに歩けるようにすることが大切です。それにより運動機能の低下や長期臥床による肺炎や床ずれなどの合併症を予防でき、寿命に対する影響も少なくなり、入院期間も短くなります。もちろん、ただ早く手術を行えばいいというものではありません。ご高齢の方は骨折を起こす以前からいろいろな内科疾患をお持ちのことが少なくありませんので、そのことも十分考慮する必要があります。そのため欧米では十年ほど前から整形外科医のみではなく、老年病医(内科医)、麻酔科医、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が協力してこの骨折を治療するようになっています。現在では病院を受診後48時間以内に約9割の患者さんが安全に手術を受けるようになっています。
 しかし日本では残念ながらこの骨折の手術待機期間は平均4.2日くらいで、欧米にかなり後れを取っております。我々の施設では、5年前から多職種連携による早期手術、手術前後の管理、退院後の骨粗鬆症治療に取り組んだ結果、手術待機期間は1.4日になり、術後は専属の老年病医が管理することにより合併症が少なくなり、約半数の方が骨折前の機能を回復されるようになりました。また退院後は定期的に患者さんの骨粗鬆症治療状況を電話で確認させていただくことにより、大部分の方が骨粗鬆症治療を継続されるようになりました。現在、全国でこの方法が導入されるようになっています。
受賞から復帰までの流れ 画像


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