Hip Joint コラム

股関節に関する有識者の方々が、様々な切り口で股関節をコラム形式で解説します。

  
第6回 Hip Joint コラム 2016.3.01

「股関節唇損傷自己体験記」

飯田先生 写真 画像
飯田 寛和
関西医科大学整形外科教授

 股関節が痛くなる原因は多くあります。10年前まで整形外科専門医にもほとんど認知されていませんでしたが最近広く認識されてきたのが、股関節唇損傷です。松本人志さんも治療を受けられたとかで一般の方にも認知度は広がったと思います。MRIなどの画像診断技術が進歩して損傷を画像として見られるようになったこと、股関節鏡の発達により低侵襲で加療できるようになったこと等が要因です。しかし、その治療方針に関しては、まだまだ混乱があるようです。股関節唇は神経が豊富で損傷されて刺激されると激痛に近い痛みを生じます。患者さんは何かあると思って医師にかかりますが、あまり理解されていない医師だと、レントゲンを撮って異常がないので痛み止めで様子を見ましょうといった判断をされます。これでは患者さんは納得されません。一方、最新の診断と治療技術を持たれている医師にかかると、すぐ精密検査、図に示すような股関節鏡手術となる可能性があります。小生は15年以上前からこの病態を理解し、多くの患者さんを診ておりますが、7割の方は自然治癒します。小生自身がこの病気を患ったので、その経験をお話しますと、約3年前、特に誘因なく右股関節が痛くなりました。徐々に色々な動作で痛くなり、椅子に座る時に痛い、階段を上る時痛い、靴下を履きにくい、立ち上がりで伸ばしにくい、寝返りで痛い、時に耐えられない瞬間的痛みがある、動き過ぎると翌日ずっと痛い、等などの症状です。一時は普通に歩けず回診でも痛そうですねと言われた位です。MRIで関節唇のひどい変性と断裂があり、症状が半年ほど続いたので、いよいよ股関節鏡の治療が必要かと覚悟しましたが、痛みをこらえてゴルフをした後しばらくして、全ての症状が消失しました。自分では逆剥けをこすりとったようなものと理解しています。もう2年以上経ちますが全く痛くありません。患者さんには痛みの原因を十分時間をかけて説明し、このようなこともあるので、日常生活で痛くなる動作を覚え、それを避ける生活を半年しなさいと指導しています。もちろん自然軽快せず生活に支障が出て股関節鏡治療が必要な患者さんも多くおられます。参考になれば幸いです。



※ 画像引用 Orthopaedic Patient Education より

  

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