Hip Joint コラム

股関節に関する有識者の方々が、様々な切り口で股関節をコラム形式で解説します。

  
第7回 Hip Joint コラム 2016.4.01

「私の股関節と剣道」

大久保康一先生 写真 画像
大久保 康一
藤崎病院 副院長・整形外科部長

 私は剣道を高校から始め、平成11年に7段、13年に教士の称号を頂きました。その後更なる昇段を目指し、週2回診療が終わってから稽古 、更に土曜 日曜と稽古、時に一日2回、更にコナミに出かけ筋トレを行うという生活を続けておりました。ところが10年位前から稽古の後に右股関節に痛みを感ずるようになり、レントゲン CT MRIの検索の結果、右一次性変形性股関節症による痛みと診断致しました。その後同じように稽古を続け、東京剣道祭、京都での全日本剣道演舞大会、医師剣道大会などに出場しておりましたが痛み改善せず、レントゲンでのう胞形成、関節裂隙が狭くなり進行いたしました。3年前から蹲踞が出来なくなり、稽古の後、時に安静時に右股関節にジインとした痛みを感じるようになりました。そこで考えました。人工股関節をうけたら剣道が出来るかです。剣道はコンタクト スポーツなのでぶつかったり倒れたりすると人工関節が破損する可能性があり適応にはならないと考えました。更に1回でも多く、1日でも長く剣道を續けるためにはどうしたらいいのかと。その結果は 更なる昇段は目指さないこと、稽古量を減らし週2回、大会には参加しない、股関節への負荷を減らすため体重を減らす(これが一番困難な事でいつも腹が減っている感じですがそれで容易に減少しません)そして生涯剣道を目指すということにいたしました。現在は末期変股症になっても1時間若い方とでも稽古が出来ます。なぜか 剣道の動き特に足さばきは摺り足 送り足が基本で歩み足はほとんどありません。即ち常に体重を両足にかけて動いているということです。ですから何か動きの中で歩んでしまい、全体重が右足にかかると股関節に痛みを感じます。更に不思議なことに面や小手を打っても股関節に痛みを感じないことです。後は気力と技で勝負です。即ち歩幅を狭くし動きを少なくし、攻めて相手の出る出頭を捉えて小さく鋭く出頭面を打つことを目指しております。この様な私の稽古を見た方が (大久保先生は本当に右股関節が悪いの)と言われることがあります。本当に悪いんですよ。剣道は歳を取っても、又いろいろなところが悪くても出来る素晴らしい武道なんですよ、と返事します。しかし面を取るとがらりと変わり、跛行(ハコウ※ビッコ、足をひきずって歩くこと)しながら歩いております。最近は貧乏揺すり器を利用しております。しかし股関節の病態が少しずつ進むはずです。その時は剣道をやめ、人工股関節手術をうけることになるでしょう

 大久保康一先生 剣道 写真

  

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